トリプルスリーとは、プロ野球においてシーズン中に「打率3割、ホームラン30本、盗塁30個」を同時に達成する非常に難易度の高い記録のことを指します。
この言葉自体が「三つの30(スリー)」と「打率3割」を掛け合わせたものです。この記録を達成するには、打撃の技術、長打力、俊足という多方面の能力を兼ね備えていなければなりません。
プロ野球の歴史の中でトリプルスリーを達成した選手は数少なく、その希少性から達成者は一流選手として広く称賛されます。
最初に達成したのは、1950年の西鉄ライオンズ(現在の埼玉西武ライオンズ)の中西太選手です。それ以来、王貞治や秋山幸二といった伝説的な選手が名を連ねてきました。
トリプルスリーを達成するためには、単なる長打力だけではなく、複数の能力が高次元で求められます。
例えば、30本のホームランを打つには長打力が必須ですが、同時に30盗塁を記録するには俊足とベースランニングの技術も必要です。これに加えて、打率3割を維持するにはバットコントロールや選球眼といった打撃スキルも欠かせません。
プロ野球選手の多くはどれか一つの能力に特化していることが一般的です。そのため、ホームランと盗塁の両立は非常に難しい課題となります。
ホームランを量産する選手は体格が大きく足の速さで劣る場合が多く、一方で盗塁数が多い選手はパワーが不足しているケースが多いからです。このため、トリプルスリーは「万能型」の選手だけが達成できる稀有な記録とされています。
トリプルスリーと言えば、東京ヤクルトスワローズの山田哲人選手の名前が真っ先に挙がります。山田選手は、2015年、2016年、2018年の3回にわたりトリプルスリーを達成しており、これはプロ野球史上でも他に類を見ない快挙です。
彼のプレースタイルはまさにトリプルスリーを体現しており、強打、俊足、そして確かな打撃技術を兼ね備えた選手として高く評価されています。
2015年のシーズンでは、打率.329、38本塁打、34盗塁という圧巻の成績を残し、リーグMVPにも選出されました。
このシーズンは、彼が日本プロ野球界のトップ選手として地位を確立した年と言えるでしょう。さらに、翌2016年にもトリプルスリーを達成し、その実力が偶然ではないことを証明しました。