野球の国内FA市場には一流の選手はいないのか

野球ボール

FA制度、という移籍システムが野球界には存在します。既定の年数一軍で活躍すると得られる権利であり、行使すると自発的に他球団に移籍できるようになります。普段、移籍となればトレード、戦力外通告といった球団の都合やネガティブな側面のあるものがメインですが、FAに限れば栄転であると言えるでしょう。

かつては30歳に差し掛かったころの脂ののった時期にある選手が移籍先を求めて権利を行使するとあって、FA選手と聞けば多くの球団が手を挙げて獲得を目指しアピール合戦を繰り広げたものです。首尾良く獲得できれば自軍の戦力は増強するわけですから、FA市場に流出した一流選手の獲得に手を挙げない理由はありません。

バッター

しかし、近年では国内移籍のみが選手の移籍手段ではなくなってきました。夢や大型契約を求め、海外FA権を行使してメジャーリーグ移籍をする選手も増えているのです。

本当に自分の実力に自信があって上昇志向が強い選手であればメジャーリーグに挑戦する、というのがここ10年のトレンドであり、そうでない選手が国内移籍を選択するようになっているのです。つまり、FA市場に流出するのはチームのエースではなく裏エースレベルの選手になっている、ということです。4番ではなく、別の打順を任される選手が国内移籍をするのです。

一昔前に比べ、市場に流出する選手自体が格落ちとなっている、とささやかれている以上、FAによる補強のみでチームを強くすることは難しいことが顕著に示されるようになってきました。これまで以上に育成や才能発掘に心血を注がなければならない、というのがFA情勢の変化に伴って各球団に突き付けられた事実なのです。